北方謙三『黒銹』

何かジャズを聴きたくなる。FM放送でも無く、CDやレコードに記録された音でもない、それ程有名でないけど、妙に味のあるミュージシャンが味わい深い楽器で弾いた渋いジャズのスタンダードナンバを……一曲の音楽を聴く事により様々な人が色々な思いを巡らせる、音楽はそんな力を持っている。これに気がつける人は、昔と言うものをしっかり背負っている人なのかもしれない。ちょっぴり淋しい男達が織り成す強さ、己の仕事を己の存在を割り切ってそう言うものの為に懸命に生きる。これが「人生」だと表現する人も多いだろうし、一番それが表現としては嵌まるのかもしれない。けど、そんな言葉で表現しきれる様なものではないのもまた事実。「人生」と言う事も、彼らの生き方と言うものも……