村上春樹『界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(上)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

ヴェランダの下から虫の声が聴こえる……。時折汽車の走行音が加わる……。奇妙な二つのストーリィ、全然バラバラの様でありながらしかし、重要なポイントは繋がっている様で……。1つのストーリィが深まっていく所で、不意に場面を変化させる。「私」と「僕」を行き来する。お互いを知っているようでやっぱり知らないようで、非常に非現実的な話だから生まれる妙な現実感そして、散りばめられた、特有の文体比喩の美しさやっぱり好きだな。