三島由紀夫『音楽』

音楽 (新潮文庫)

音楽 (新潮文庫)

人が人を分析する。多くのデータとそれによって成り立つ理論、それらを使って人を治療する医者・精神科医。メスも使わず、主に言葉を用いて、人の奥深くに分け入っていく仕事。患者の心と対峙しているようで、自分自身のそれをも見つめ直す作業に他ならない。妙にひきつけられることも、ひきずられることもあるのだろう。音楽って言葉に何を聴くのか? 何をみるのか? 自らの内から沸き上がるようなそれに始まり、それに終わる。