森博嗣『そして二人だけになった』

そして二人だけになった (新潮ミステリー倶楽部)

そして二人だけになった (新潮ミステリー倶楽部)

ハードカヴァで買って読みたいくらい好きな人の最新作。シリーズとは関係無くても、読みたくなる文章をつむぐ創造者。タイトルに、装丁に、章題にこの人が創りあげる世界に引きずり込まれ惹き込まれる。作中に散りばめられ、見え隠れする作者の顔が俺はとっても好き。作品と共に作者の世界に俺は惚れ込む。どこが物語のラストシーンなのか? 何が真実なのか? 正しい答えは作中に書かれた手がかりを元に導く事も出来るのだろうけど、それよりも、最後の場面を読んだ時に訪れる、背筋を襲うような恐怖感と、全てが信じられなくなる不安。そして生まれる自信。謎を解くから面白いのではない。謎を魅せてくれるから面白いのだろう。